強迫性障害
強迫性障害
強迫性障害は、ある考え(家族の誰かが死ぬのではないか、自分の手が汚れているのではないかなど)が自分の意思に反して何度も頭に浮かび、払いのけることができなくなる強迫観念と、ある行為(手を何度も洗う、ガス栓や鍵を何度も確認するなど)をしないと気がすまなくなる強迫行為があらわれ、自分でもつまらないことだとわかっていても、そのことが頭から離れない、わかっていながら何度も同じ確認をくりかえしてしまうことで、日常生活に支障をきたす病気です。
人は少なからず自分なりの小さなこだわりや、ルールがあると思います。それらをすることで自分が落ち着き、穏やかに過ごせることも多いと思います。しかし、それらの行為や考えについて「~しなければならない」「いやだけどこれをしないと動けない」など自分の行動が制限をされたり、それをすることに嫌悪感があってもやめることができなくなってしまうことがこの病気の特徴です。
強迫性障害の原因は、性格や成育歴、ストレス、感染症など様々な要因が関係しているといわれていますが、はっきりとはわかっていません。強迫性障害は、誰もが生活のなかで普通にすること(戸締まりの確認や手洗いなど)の延長線上にあります。「自分は少し神経質なだけ」なのか「もしかしたらちょっと行き過ぎか」という線引きは難しいところですが、放置してしまうと重症化していく傾向があり、うつ状態などが合わせて出ることもあります。そのため、生活に支障が出る状態があるようであれば早めのご相談をお勧めします。
治療は主に、薬物療法と認知行動療法になります。薬物療法で不安を軽減しつつ、認知行動療法を併用して自分の考えについて振り返ります。認知行動療法とは、ある出来事や物事に対するとらえ方(認知)を見直して、症状の改善を目指す治療法です。薬物療法とともにそういった治療を継続することで症状の軽減を図ります。治療を続けていくと、症状が軽減し「治ったのでは?」と感じることもあり、通院や服薬がおろそかになることもあります。そうすると、症状が急に強くなったりすることもあります。通院や服薬については、医師と相談しながら進めていくことが大切です。